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ひとり社長のスプレッドシート式決算

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ひとり社長がスプレッドシートをつかって法人決算書を完全独力で数時間でつくる方法

~最強・スプレッドシート決算

 

ひとり社長やってますが、毎年の決算書と法人税の申告がこれまで大変で、コストもかかってました。

クラウド会計とかに毎月課金するのももったいなく、思い切って、自分でスプレッドシートで仕訳から決算書の作成まで可能な限り自動でできるようになりました。

 

1年間の仕訳と決算書の作成が、数時間で終わるようになりました。

昨年の決算書は、このシートで作って税務署に提出しました。法人税申告書は、おととしの法人税申告書と今回作った決算書をベースに、税務署員に教えてもらいながら1時間もせずに作成が完了しました。

 

経理に時間もお金もかけるのは、まったく生産的じゃないと思ってます。クラウド会計が出てきて税理士を利用するよりは、よっぽど安くはなったけど、それでも月数千円かかります。自分自身で完全無料化できたので、ものすごく気持ちがらくになりました。

 

経理を簡単にするには、大前提があります。

  • お金の流れはオンラインで処理する=現金はなるべく使わない

わたしの仕事は、取引のお金はクレカ(支払い)か銀行口座(受取OR支払い)がほとんどです。そうすると、取引の明細はネットバンキングであとからダウンロードできるので、自分で記帳する必要はなくなります。

現金もたまに使いますが、その場合にだけ記帳を忘れないですれば、OKです。大事なことは、お金の流れの大半がオンラインでかんたんに追える状態になっていること、です。

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わたしは、ある地方で、小さな会社をやっています。

この会社を始めたのが7年前。顧客のほとんどはHP経由からのネット流入です。

社員は雇用せず、自分でできない部分は外注する「ひとり社長」で、なんとか7年目を迎えました。

経理では、いかにして決算書と法人税申告を「ただで乗り切るか」。そこに焦点を当てています。

 

毎月数万円(年間数十万円)の税理士をやとったり、freeeとかMFクラウド弥生会計などの会計ソフトも必要ありません。

 

同業他社や他業種の経営者の方といろいろな形で会うことが多いですが、新型コロナが猛威をふるって、みなさん経営に苦しんでいます。「お客さんが店に来てくれない」「ものが売れない」・・・。そこで、いろんな経費削減に取り組みます。従業員にお休みを与える、とっていた新聞をとめる、暖房費を節約するなどなど。血が出るような頑張りをしてらっしゃるんですが、「経理はどうしてるんですか?」と聞くと「昔から付き合いのある税理士にお願いしている」「会計ソフトを使っている」とおっしゃって、そこを見直す人はあまりいません。

 

でも、会計こそ「お金をかけずに、かつ楽に終わらせるか」が大事なんじゃないか?と思うわけです。

 

仕訳、決算ってやっていることは結局日々のお金の出し入れの足し算と引き算でしかありません。「AI仕訳」とかのネーミングにだまされそうですが、クラウド会計のアプリケーションも結局やっていることは、表計算アプリに毛が生えたようなもんです。

 

税務署にとって、中小企業は、税金をしっかり収めてくれる大事なお客様です(お店が赤字だって法人県民税や市民税の均等割で、最低7万円以上払うんです)。だから、きちんとした決算書さえ作ってもっていけば、税務署員が手取り足取りで法人税申告書を一緒に作成してくれます。

 

わたしは起業して最初の2年は「経理ってなに?」という状態だったので、ネットで見つけた税理士事務所に決算書の作成と税金の申告をお願いしていました。指定された会計ソフト(クラウド型ではなく古い感じのソフトでした)に自分で仕訳を書いて、チェックしてもらう形でした。決算期には決算書を作ってもらい、代理で税金も申告してくれるので、便利といえば便利でした。でも、、、、高い。

 

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顧問料として毎月2万かかっていました。年間24万円です。安いところを探したんですけど、それでもこのぐらいかかったわけです。本当は決算期のときだけお願いしたかったのですが、税理士も、企業側の事情はよくわかっています。そんな都合が良いことは契約上できず、決算処理込みで通年契約しないとないわけです。ネットで見つけた税理士と顔を合わせたことも、電話で話したこともありません。メールのやり取りだけで、それも税理士本人ではなく、アシスタントのスタッフとだけでした。最初は節税ノウハウなんかも教えてもらえるのだろうかと期待もしていましたが、そんなこともありませんでした。始まったばかりの会社は生き残るのだけで大変で節税をしたくなるような黒字を生み出すのは大変です。社員を雇用したり、複雑な会社組織になっていれば、また違うのでしょうが、こちらはひとり社長。節税する知恵を授けるほどのこともなかったということだろうと思いますが、いずれにせよとても薄いつながりでした。

 

小さな会社にとって、決算を作る意味は、ほとんど法人税を申告するためです。少なくとも私にはそうでした。極論すると、それ以外、特に必要はありません。もちろん1年間の活動を決算書という形でまとめることで、「ここの費用は削れたな」とかいろいろな気づきがありますが、それは副次的な効果で、やはり本来の目的は、税金の申告をしっかり終わらせたい、そこにあります。そのため、実は税理士に仕事をお願いするのは決算月にまとめてお願いすれば十分なんですが、それでは税理士側の実入りが悪くなるので、通年契約を求められることがしばしばだと思います。決算月だけお願いする税理士事務所もありますが、決算だけだと非常に高額になります。

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会計ソフトは突き詰めれば表計算ソフトとかわらない

最初の年の決算書をみたときは、初めての経験なのでテンションが上がりました。ただ、翌年、税理士事務所から届いた決算書や法人税申告書をみると、中身の数字は違いますが、ほぼ最初の年と同じ書類でした。こちらが同じ仕事をしているから、かかる費用の種類も同じです。当然同じ仕訳(「備品・購入費」「通信費」などの課目を割り振る作業)になるわけです。

こんなことのために数十万円も払うのは無駄だと気づき、3年目には、「MFクラウド会計」という会計ソフトに移りました。これは、月額3980円(2021年1月時点)です。税理士と契約するよりよっぽど安いと思ったのです。

 

ただ表計算アプリでテンプレがあれば、クラウド会計のお金も必要なくなります。

クラウド会計を分解すると「自分でできちゃう要素」はたくさん、というか全部代替できちゃいます。

 

  • 登録した金融機関から明細を自動ダウンロードする機能
  • 妥当な勘定科目、仕訳を提案してくれる機能
  • 決算書をつくってくれる機能
  • データはクラウドで保管する機能

 

まず最初の機能はたしかに便利なんですが、冷静に考えると、1年に1回、金融機関からCSV形式でダウンロードして、自分のテンプレに貼り付けても、やっていることは同じで、それはたいした手間ではありません。1金融機関で5分ぐらいの作業です。

日々リアルタイムに仕訳したいならまだしも、わたしはそんな必要性は感じません。

 

次に仕訳提案機能ですが、最近はAI仕訳なんてうたっていますけど、最終的に人間(自分)が勘定科目を決めないといけないのは、クラウド会計でも同じ。それが仕訳的に正解なのかもクラウド会計では相談できませんから、1年分の仕訳を、自分のスプレッドーシートでソート機能を使って、一気に仕訳する(勘定科目を決める)ほうが、時間は、むしろ早くなります。

 

次に決算書をつくる機能ですが、これもスプレッドシートでできちゃいます。わたしは仕訳がおわると、決算書が自動的にできるように作りました。

 

 

決算書までできれば、残るのは、法人税申告書だけとなります。

クラウド会計でも、決算書をつくっても、法人税申告書は作ってくれません。そのため、わたしは、決算データを取り込むと、法人税申告書を作成してくれるサービス(「全力法人税」など)を利用していました。こちらは初年度に19800円、2年目以降は1万円かかりますから、MFクラウド会計とあわせて、年間6万円ほどかけて、決算書と法人税申告書をつくっていたことになります。

ですが、これも振り返れば、必要ありませんでした。

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会社の業態が大きく変わらなければ、法人税申告書も毎年数字が変わるだけ。自分でも手書きで十分作成できます。さらに、この作成にあたっては、本職のプロを無料で利用できます。決算書と前年の法人税申告書(繰越欠損額を記入するため)をもって、税務署にいけば、その場で税務署員が手取り足取り教えて、申告書を書いてくれます。税知識豊富な現役のプロから無料で教えてもらえるんですから、これを利用しない手はないと思います。

 

最後にデータのクラウドでの保存機能ですが、スプレッドシートクラウド型の表計算アプリですから、同じです。

 

そんなわけで、思い切って会計ソフトもやめてしまいました。

毎日の記帳もしません。ボクシングでいうところの完全なノーガード戦法。

顧客との取引記録がほとんどすべて電子化されていますので。

決算前に、テンプレを使って決算書を作って税務署に提出。税務署員に法人税申告書の作成を手伝ってもらい、帰り道で法人税を支払いに銀行によって帰りました。

拍子抜けするほど、かんたんで、来年から、だいぶ楽になると、今は確信できています。

 

税務署では職員さんが「この書類はいらない」などと、例年自動作成サイトが制作する書類も不必要と判断し、数種類の書き込みで終わってしまって、拍子抜けでした。税務署は税金をいかに取るかだけを考えている組織なので、きちんと申告に来る納税者の法人は赤字であっても優良顧客なんです(少なくとも法人住民税の均等割7万円は払いますから)。

 

つまり、①スプレッドシートのテンプレさえあれば、ちゃんとした決算書が簡単にできる②そしてちゃんとした決算書さえあれば、法人税申告は税務署でできる。ということです。

 

以上が、スプレッドシート式決算を始めた経緯です。

 

自作テンプレやマニュアルの公開も考えましたが、使い方の説明がかなりめんどくさいことに気づいたので、割愛します。

 

なので、下記は自分用の純粋な備忘録(来年、使い方を忘れないようにするための)です。

 

全体の構成~

「決算書」「仕訳」「勘定科目」のシートは年度ごとにセットで制作。

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制作といっても、前年度の上記3種類のシートをコピーし、シート名を変更するだけ。たとえば「2019決算書」から「2020決算書」を作る。

 

シート内部の関数はいずれもコピーで移植されるが、シートを超えて参照する関数が多く入っているので、各シートの所定欄に必要な場合は「2020」などと記入する欄がある。これを正しく記入しないと参照関係が崩れるので、注意する。

 

勘定科目シートは、勘定科目として何を使うかを定義するシート。年によって必要な科目が変わる可能性があるので、年度ごとにシートを新設する。

ここで規定する勘定科目が、仕訳を分類するプルダウンリストに自動的になる。

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E~H列は、世間でよく使う勘定科目と、その分類項目をセット(一度セットしたら、基本的に変更の必要なし)。

C列で自社に必要な科目を選ぶ(E列と同じ科目)と、A列に自動で抽出される。

A列の科目が最終的な自社の勘定科目になり、仕訳シートなどのプルダウンリストになる。

 

作業の中核的なシートは「仕訳シート」だ。

左側に、個別の銀行やクレカの仕訳を貼り付けると(赤枠)、P列とS列で、借方勘定、貸方勘定が自動計算される。

また、V列(青枠)には、前年の仕訳シートの期末残高をコピペする。そうすると、期中の増減が自動で加算される。

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赤枠の仕訳を制作するには、銀行やクレカなど、金融機関ごとの個別シートで事前に仕訳を制作しておき、それを単純に順番に貼り付けるだけだ。

わたしの場合は、個別シートは、銀行、クレカ、現金(=銀行、クレカ以外すべて)の3シートで十分だ。

やり方は、金融機関のオンラインバンキングのページから、CSV形式で該当期間の取引データをダウンロードし、シート左側に貼り付ける。そして、メインの仕訳シートに移植するため、CSVデータから必要な列を選択し、シート右側にコピーする、というのが流れ。

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 これは銀行のシート。まず、CSVデータを左に貼り付け。次に各列を、右側の表(そのまま仕訳シートに貼り付けられる形になっている)に手動でコピーする。

そのまま貼り付ける場合、CSVデータの金額が、スプレッドシート上の「数字」と認識されない場合がある。たとえば「\100」などと表記されている場合は、「100」とコピーする必要があり、そうした場合は正規表現に関連する関数を使う。

(取引日についても、金融機関をまたいでソートできるようにするには成形が必要だが、トータルでの収支を計算する目的では必要ないので割愛する)

 

また、金融機関のデータ保管期間がどのくらいあるかは、注意が必要。たとえば3ヶ月しか保管されない場合、1年ごとにダウンロードしていれば、データをダウンロードできない期間が生じてしまう。わたしの場合、メインバンクは24ヶ月保存、クレジットカードが15ヶ月の保存期間がある。12ヶ月以上なので、基本的に年度を終えた後で決算処理をしても十分に間に合う。そうでない場合は、保存期間内にダウンロードを繰り返す必要がある。

 

上記作業で仕訳シートを完成させれば、決算書シートも自動で同時にほぼ完成している

決算書シートで「税引前利益」が算出されているので、それを今度は「法人税シート」で繰越欠損金などで控除し、最新の法人税率から法人税額を算出。これを決算書シートに手動で記入すれば、作業終了。